ジム・ロジャーズがその国の経済をみる時に注目する指標の一つとして貯蓄率があります。
貯蓄率とは、貯蓄額を可処分所得で割った比率です。
例えば1990年代はじめに書かれた「冒険投資家ジム・ロジャーズ 世界バイク紀行」では、貯蓄率について次のように述べています。
私たち(アメリカ)の貯蓄率は4パーセントである。日本の貯蓄率はこの5倍である。貯蓄が多ければ多いほど、投資に回る金が多くなる。
投資に回る金が多ければ多いほど、生産力が高まる。生産力が高ければ高いほど、生活水準は高まる。まさに私たちに過去20年間欠けていたのはそれである。
(冒険投資家ジム・ロジャーズ 世界バイク紀行p41より)
また今後、中国が発展する理由の一つとして次のように述べています。
中国人は所得の40%ほどを貯蓄や投資にまわしている。
(商品の時代p157より)
このようにジム・ロジャーズがその国の経済をみる時に貯蓄率に注目していることがわかります。
「冒険投資家ジム・ロジャーズ 世界バイク紀行」(1990年代前半ごろ)では、貯蓄率の高い好例としてあげられていた日本ですが、その後日本の貯蓄率は急激に下がっています。
現在の日本はの貯蓄率はかつてジム・ロジャーズが懸念していたころのアメリカと同水準かそれ以下になっており、4世帯に1世帯は貯蓄ゼロ世帯という状況です。
要因として不景気、高齢者世帯の増加、所得格差、金銭感覚の変貌などがあげられるらしいのですが、経済への投資の原資が少なくなると今後の日本経済を考えると非常に心配です。